「俺が真雪のことを好きなんだ。」
「ごめんなさい。」
消えてしまいそうな声でそう呟いたサワは、泣きそうな顔を隠すように走り去ってしまった。
涙が見えなかっただけで、もしかしたら泣いていたのかもしれない。
「真雪、大丈夫?」
遠藤君は私の顔を覗きこむ。
「私は大丈夫。」
「取り敢えず、中へ入ろう。いつからここにいたんだよ?」
「30分くらいかしら?」
私達は図書室の中へと入りながら会話を続ける。
「寒かっただろう?」
「今更、寒さを感じてきた。」
「まったく。真雪は。」
呆れ顔をしながら、いつもの席につく遠藤君に続いて私も腰を下ろした。


