その手で溶かして


食卓に座ると、トーストにヨーグルト、サラダが並べられ、食後にはミルクティーなんかも出てくる。



いつもと変わらない朝の風景。



パパとママも何事もなかったように会話をしているし、時々私の脳が可笑しくなったのかと思ってしまう。



「行ってきます。」



私は満腹になったお腹を抱え、家を出た。



ミルクティーのお陰で、朝はあまり寒くは感じない。



きっと体が芯から温まっているのだろう。




「おっ。久しぶりだな。」



違和感はあるけれど、2人が仲良くしてくれるなら、それが一番だと前向きに1日の一歩を踏み出そうとしたその時、気分を害する声が私の耳に届く。



「お前はいつも朝寝坊できていいよな。俺なんて今日よりも2時間も早いんだぞ。同じ高校生なのに差別だよな。」



朝からベラベラと五月蝿い男を無視して、私は駅へと向かおうとした。