その手で溶かして


ウミの癖だって完璧に忘れていたはずなのに。



どうして今、私の記憶は過去を振り返ろうとするのだろう。



「気にしないで話を続けて。」



「たまに胸の辺りが苦しくなるの。理由はよくわからないのだけど。病気とかってわけじゃないわよ。」



「あぁ。わかってる。」



「そうなることが嫌いで、いつも憂鬱になっていたんだけど、遠藤君といるとその苦しみが和らぐ気がするの。」



「そうか。」



「意味がわからないでしょ?」



「言っていることの意味はわかるよ。ただ、何故そうなるのか、何故俺といると和らぐのかが気になるところだけど、真雪にわからないなら知りようがないな。」



こんなふうに私を気遣い、いつだって優しい言葉をかけてくれるからだと思うと言おうしたけれど、その言葉はあと少しのところで遮られてしまった。