「悪かったわね。急に来たりして。」 「いつでも来たらいい。ここはユキと俺の場所なんだから。」 「そんなの昔の話でしょ。」 「確かにそうだけど……いつでも来ていいから。」 ウミの気遣いに “ありがとう” って言いたいのに、私はウミの言葉を無視したまま、自分の家へと足を進めた。 ウミとは一度も目を合わせないまま、背中にはウミの視線を感じていた。