その手で溶かして


夕食の時間は7時。



まだ30分も前だというのに、ママの機嫌が良くない。



これ以上、機嫌を損ねないように、私は急いで着替えを済ませ、リビングのドアを開けた。



古くなっているせいか、ドアが開くのと同時にギーーっと音が鳴る。



その音は私がリビングに入ったことをママに知らせてくれる。



今日みたくママの機嫌が悪いときに、この音は役に立つ。