無口で不器用な年下くん。



「……いえ…」


坂井君はそう小さく呟き、眠そうに体を無理矢理起き上がらせ、立ち上がった。


「わっ、坂井君?疲れてるなら寝た方がいいよ。まだ着かないし」


突然立ち上がり、私の前に立つ坂井君に圧倒されながら私は言う。


「センパイも……」


─────ガタンッ


「わっ!!」


坂井君が何か言いかけた瞬間、バスが大きく上下した。


その反動で立ってた私はバランスを崩し、地面に向かって体が傾いた。


無意識に目を瞑り、倒れるのを待ってると、何か温かいモノに包まれる──。