無口で不器用な年下くん。



ピーッ!


いつの間にかハーフタイムが終わり、後半戦が始まっていた。


すると、沢田君が小さく口を開いた。


「…桃山、ありがとう」


「え…?」


いきなり改まって言う沢田君に私は目をパチパチさせた。


「いつも言えなかったけど、桃山が居てくれたからさ俺達ここまでやって来れたんだよ」


「……ち、違うよ。みんなの実力だよ」


「実力もあると思うよ。だけど、桃山のマネージャーの頑張りにみんな救われてきたんだよ」


「………っ」


私は目から落ちそうな涙をグッと堪える。


「だからそんな顔すんな。自分は無力だなんてそんな顔」