無口で不器用な年下くん。



私はいつものように大声で応援しながらメモを書き取る。


書き取り終え、前半も終了間際、耳に障るような大きな音が体育館いっぱいに響いた。


誰もが音の方向へと顔を向ける。


「……っ」

私もその方向を見た瞬間、声にならない声が出た。


三年生の一人が瞼から血を流し、地面に座り込んでいる。


「沢田君!」


怪我したのは沢田と言い、副部長をしている人だ。


救急箱を持ち、ダッシュで沢田君の元へと駆け寄った。