無口で不器用な年下くん。



逆に私の視線に気付いた佐倉 葵は小さく舌を出し、私を馬鹿にしたような表情をした。


…。悔しい~!!!


やり返したい気持ちでいっぱいだが、今は構ってる暇はなくシカトした。


「部長、負けないでね」


一度ベンチに来た拓哉に私は言う。


私の言葉に拓哉は白い歯を出して笑い、私の髪の毛のわしゃわしゃと撫で回した。


「当たり前だろ。絶対負けねぇよ」


拓哉はそう言い放ち、コートへと戻っていった。


そして笛の音と共に試合が始まった───。