無口で不器用な年下くん。



駅に着くと、私達が乗る電車が既に着いていた。


「坂井君!電車来てる!」


私は叫びながら、二人でホームの階段を猛ダッシュで駆け降りた。


今の時間帯はこの駅の帰宅ラッシュ時刻。


私達と同じく、駆け込み電車をする人達に押し潰されそうになる。


何とか電車には乗れたが、中は満員で、人と人とで押しくらまんじゅう状態だ。


…く、苦しい…っ。


背の小さい私は人に押されて窒息しそう。


「坂井…君…」


自分でも気付かない内に、坂井君の名前を呼んでいた。


サラリーマンに押し潰されそうになった瞬間、誰かに思いっきり引き寄せられた。