無口で不器用な年下くん。



「あ、俺も東西ストアに寄る予定でしたよ」


完璧な二人に迷惑をかけない口実だと思ったのに、坂井君はそれを覆し、静かに呟いた。


「…へ…?」


「…なら、送っていきます」


坂井君から逆に言ってくれるなんて、断るのも失礼に思えちゃう…。


私は断れずに『…じゃあお願いします』と呟いた。


自分から送ってと言い寄った訳じゃないのに凄く恥ずかしい。



拓哉は諦めたのか、深いため息を吐く。


「…わかった。莉子気を付けて帰れよ」


納得したようにポンポンと私の頭を軽く叩き、学校へと消えていった。