送る? 「誰を?」 「…っ莉子をに決まってるだろ!」 また叫びながら言う拓哉に私はビックリする。 こんなに拓哉が取り乱してるなんて。 「…別にいいよ。それに拓哉んち、逆方向じゃん」 いつもお互い電車で帰るが、乗る車両は全くの逆方向。 それに送ってもらうなんて拓哉に悪いし。 「だから……」 「センパイの家ってどこですか~?」 拓哉の声を遮り、制服に着替え、帰る準備が完璧な森下君が私に聞く。