無口で不器用な年下くん。



「坂井君は?」


私は拓哉に聞く。


息を整え、水を飲み干した後、拓哉は口を開いた。


「終わったと同時に出ていったよ。外じゃないか?」


「わかった。ありがとう!」


私は拓哉にお礼を言ってすぐに外へと向かった。


体育館の扉のすぐ横にある裏口ドア。


私はゆっくり開け、広がる風景の中を見渡し、坂井君の姿を探す。


きっと汗だってかいてるし、喉も渇いている筈。


「坂井くーん…」


恐る恐る坂井君の名前を呼ぶ。


すると、後ろから肩を叩かれた。