無口で不器用な年下くん。



部員達は大量の汗をかきながら壁に寄っ掛かり休憩を始める。


私は慌てて冷えた水を配った。


「部長、はい、水」


気合いが入りすぎたのか、珍しくばてている拓哉。


息を切らしながら水を受け取った。


「……あれ、余った」


私の腕の中に一つペットボトルが残ってしまった。


いつもちゃんと確認してピッタリの筈なのに。


そう思い、辺りを見渡すと一人居ない人物が居た。




…───坂井君。


一年生で最もオーラと実力がある坂井君だった。