無口で不器用な年下くん。



「…早く着替えて来い。練習始めるぞ」


「はい」


拓哉は私の様子を一瞬見て、坂井君にそう言った。


初めて聞く拓哉の低い声に私もやっと我に帰る。


制服のままだった坂井君は体育館の端にある男子更衣室へと姿を消した。


そして部長の合図でバスケ部の練習が始まった。




最初は基本中の基本のパス練習から。


基本が出来てないと話にならないからね。


私の仕事はその基本練習を見て、一年生の一人一人の弱点や利点を探すこと。