「…キミがか。坂井 陸って」 拓哉は上から下まで男の子の容姿を見回す。 その拓哉の行動に迷惑そうに眉を歪める男の子。 私は慌てて拓哉のそばに駆け寄った。 「た、拓哉!坂井君って有名なの?」 険悪な雰囲気を漂わせないため、私は笑みを浮かべそう拓哉に聞く。 部活内で“拓哉”って声に出して呼んだのは久し振りだ。 「…坂井 陸。中学では強化選手に選ばれ、数か月前までは留学していた。もちろんバスケで」 えー! 私は心の中で思いっきり叫ぶ。