その男の子は静かにドアを閉めて、こちらへ近付いてくる。 そして拓哉の前で立ち止まった。 「遅れてすみません。入部希望で一年の坂井 陸です。」 男の子がそう静かに言い放った瞬間、二、三年の部員達にざわめき出す。 …どうしたんだろ。 男の子を見ながらひそひそ話をし始める部員達に着いていけず私はその男の子を見つめるしか出来ない。 いつも冷静な拓哉でさえ、男の子の名前を聞いた瞬間目を見開いた。