安奈は冷めていた。
そう自覚している。

若干18歳で自分を分析できているかどうかは怪しいが、おそらく他人が見てもそう感じ取られるだろう自信があった。




夜の帷が降り始めた街を足早に歩く。
昨日も歩いた。
そして明日も歩くであろう街路樹を。


何の感慨もないけど、特別嫌な訳ではない。
ましてや人生に落胆している訳でもない。


ただ、同じ毎日の繰り返しだった。


そして今日も、約束どおりかのような喧騒のネオン街にたどり着く。


高級でも庶民的でもない、ごく普通のクラブ「applause-アプローズ-」







何もかもがただただ平坦だった。


そう。この日、-店の裏口のドアを開けるまでは。