とにかく僕にできることは何か。


考えても考えても、

出てくる答えは同じだった。


それは浩二も言っていたことだ。




“詩野の歌を聴いてあげる”


それだけだった。




別れ際、僕は浩二に言った。



「このことは秘密にしてくれ。詩野も昨日僕は寝てたと思ってるはずだから」

「わかってるよ」




僕が詩野の病気を知ってるとわかってしまうことで、

詩野が僕に、変に気をつかってしまうんじゃないかと思った。



それに、


すごく大切なものを失ってしまう、

そんな気がした。



明日は晴れるといいな。


何年振りだろう、

僕はてるてる坊主を窓際に吊した。





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