「違うよ。そういうわけじゃ…」

「とりあえず、まだ時間あるだろ。行ってこいよ」

「でも…」

「いいから行けって。悪かったな、無理やり誘って」



「そっか。そうだよな。…ごめん、行ってくる」


そう言って、僕はテーブルの上にお金だけを置いて、

小走りで店を出た。



浩二が最後に笑顔で送り出してくれたのが、

少し嬉しかった。




それと、

あまり気にはしなかったが、詩野の話をしだしてから、

大輔が何も言わず、ずっと下を向いてるように見えた。











「大輔、さっきからなんでずっと黙ってんだよ」

「なぁ浩二、聞いてくれ」

「なんだよ」――――














――この時僕は、





まだ重大な事実を知らずにいた。





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