「一軌!」
そう叫んで女性が一人、僕の所へ近づいてくる。
外灯の淡い光が徐々にその顔を照らし出す。
「やっぱり一軌だ。久しぶり。何年経っても後ろ姿変わらないのね」
僕は目の前の現実を受け止めることができなかった。
こんな奇跡が本当に起こるなんて…
想いは確かに届いたんだ。
「ねぇ、聞いてる?私のこと忘れちゃった?」
忘れることなんてできない。
その喋り方も、声も、顔も、僕の大好きな人に間違いなかった。
「ど、どうして…?」
「…?」
「どうしてここに?」
詩野が笑う。
その瞳に映る僕は今どんな表情をしてる?
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