「覚えてるか?詩野ちゃんが二次も三次も遅れたの。あの時、本当は…」
「寝坊じゃない。病院に行ってたんでしょ?」
「知ってたのか?」
「やっぱり。詩野が何かを隠してる時の表情、なんとなくわかるんだ。おとといここに遅れて来たのも、きっと病院に行ってたから…」
「だったら、何で止めなかったんだよ…倒れたんだぞ!二次も三次も!医者にだって行くなって言われてたんだ!」
「詩野から夢を奪う気はない。浩二が僕の立場だったら止めたのかよ!?逆境はねのけて、頑張れって言うに決まってる。僕の知ってる浩二はそういう奴だ」
浩二は乱れたマフラーを巻き直し、俯いた。
行き場を失った真っ白な吐息が空中をさまよう。
僕らはこれから、どこへ向かう?
閉ざされた暗闇の中で、足元が見えない。
光はどこに…
詩野は……
「詩野は…これからどうするの?」
僕は光を求めながら、そう尋ねた。
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