それから時間はあっという間に過ぎていった。
時の経過と共に結局僕ら三人は、
いつも通りの拙い世間話に華を咲かせていた。
「そろそろ戻ってくる頃だね」
僕のその一言で、空気が最初の頃に逆戻りする。
大輔は必要以上に時計を気にし、
浩二は無言で俯いたままだ。
そんな空気が五分程続くと、会場から応募者が次々と出てきた。
喜び笑う者。
肩を落とす者。
電話で結果を報告する者。
様々な人が入り乱れる中、僕は石段にのぼり、
必死に詩野を探した。
遠くに、ギターを背負う見慣れた服装の女性。
「いた!」
思わず声が出てしまった。
浩二と大輔も僕の隣りに立って、一緒に、
「詩野!」
と大声で呼びながら手招きをする。
その声に気付いた詩野が急いで僕らのもとへ走ってきた。
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