そして僕は、
詩野に出逢えたおかげで、こんなにも夢中になれるものを見つけることができた。
好きな人のために、何かを犠牲にすることは、
ちっとも苦しいことじゃない。
友達と遊ぶ回数も減ったし、元々これっぽっちの給料もさらに減ったけど、
その分、詩野の笑顔が増えたんだから。
僕から何かが失われる分、
詩野にとっての、何か大きな力になることが、たまらなく嬉しかった。
「今時そんな奴いない」
なんて笑われるかもしれないけど、それでもいい。
この気持ちは本物だ。
この三ヶ月で、破裂しそうな程いっぱいに膨らんだ僕の想いは、
この時、
ある大きな決意を生んだんだ…
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