「何で分かったんだ?」

「なんとなく」

「全く・・・澪は可愛いな~」

「五月蝿い!!」

澪さんは顔を赤くして叫ぶ。
陵さんはクスクスと笑っている。

「兄さん、落ち着いて」

「はぁ・・・まぁ良い、陵は俺たちを秘密を知っている1人だ」

「えっ!?」

陵さんを見ると俺に向かってウィンクしてくる。
ちょっとだけ・・・引いた・・・

「俺達はこの時計で女の姿になるんだ」

「時計で?」

「あぁ、俺達が付けている時計だ」

チラッと蓮の左手首を見ると時計が付いていた。
澪さんの右手首にも付いている。

「この時計は俺達の父親が作った物、小さい頃にこの実験を手伝いをしたが・・・これは一生取れない物みたいなんだ」

「一生ですか・・・でも作った本人に聞けば」

「無理だよ・・・」

「どうして無理なんだ?志貴」

「父さんは・・・消えたんだ、僕達にこの時計を残して・・・」

蓮の顔が悔しさに歪む。
俺の中で何かがズキンと傷んだ。

「まぁ、今は俺がそれを引き継いで研究しているんだけどな」

「そうですか・・・」

「あ、あのさ、池上君」

「ん?どうした?」

「あ・・・いや・・・」

蓮が何かを話そうとした時
俺の肩に誰かの手がポンッと乗った。
振り返るとメチャ笑顔の陵さんが居た。

「少し2人で話そうか」

「えっ!?」

「蓮君、少しだけ恭弥君借りてくよ」

「あっはい」

陵さんは俺の腕を掴んで部屋の外まで連れて行く。
意外と・・・強い力だ。
リビングまで来ると手を離してくれた。