図書室での一件から恭弥から目が離せなくなった。
あの時の恭弥に・・・僕はドキドキした。
どうしてドキドキしたのか、僕には分からない。

(あぁ・・・分かんねー・・・)

「蓮!行ったぞー!!」

「あ、あぁ!」

僕は慌ててボールを追いかえる。
今は体育でサッカーをやっている。
僕にパスが来たので、僕はゴールまでボールを蹴る。
相手側のゴールキーパーは恭弥だ。
前髪と眼鏡で何を考えているのか分からない。

(よし、シュート!)

シュートするが簡単に恭弥にキャッチされた。
少し表情が見え“ニヤッ”と笑っていた。

(えっ!?)

「次・・・行くよ・・・」

恭弥が味方にボールを渡す。
そして、試合が再開される。

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体育が終わり掃除の時間になった。
教室で箒を持って掃いていると恭弥が近づいて来た。

「・・・志貴」

「ど、どうした?池上君」

「さっき・・・腕怪我したよね・・・」

「えっ・・・あ、あぁ、コレ?」

僕は腕まくりして腕の怪我を見せる。
サッカーをやっていてこけたのだ。

「大丈夫だ、これくらい」

「・・・来て」

「えっ!?」

恭弥は僕の怪我していない方の腕を掴んでスタスタと歩いていく。
僕はその後を歩く。

「い、池上君!!」

「何・・・?」

「どこ行くんだ?」

「・・・保健室」

そう言って保健室のドアを開け中に入る。
先生はいない・・・後ろでガチャッと音がした。

「もしかして、閉めたのか!?」

「別に良いだろ?ひら、キズ見せろ」

恭弥はいつの間にか眼鏡は外し、前髪を上げていた。
何か・・・逆らえないオーラがある・・・

「あっ・・・はい」

「ったく凄く血が出てるじゃねーか、世話かけさせやがって」

「すみません・・・」

恭弥はさっさとキズを手当てしてくれる。
怖いけど本当は優しい奴なんだな。