「……矛盾しているわね、貴方」

「お互い様だっつーの」

虚勢を張ってはみても、その手は、その言葉は、この心は、ガタガタ震える。

俺は、死にたいのか?

「可哀想」

死神は涙無しで泣いていた。






いつからこんな風になってしまったんだろう。

毎日が息苦しくて、それでも必死に生きてきて、でも頑張れば頑張るほど視界はどんどん色褪せて。

何に苦しんでいたかもわからなくなるくらい、また苦しくなって。

地獄にでも引き摺り込まれそうな恐怖と、どこを見渡してもニセモノしかない虚無感ばかりが絡み付いて。

ニンゲンを、怖いと思った。
ニンゲンが作った世界を、怖いと思った。
ニンゲンを作ったカミサマを、憎いと思った。

得た物なんて全部忘れた。

何を失ったのかは今もわからないまま。

俺は死にたいのか?
俺は死ねるのか?

どうして死にたいと思ったんだ?

俺は一体いつから、笑わなくなった。



「貴方は死にたいのではない。生きられないのよ」