「なぁ、速水?」
「はい?」
車の中、俺は助手席に座っている速水に声をかけた。
窓の外を見ていた速水が、こっちに向く。
「今日は見張りはしなくていいのか?」
「あっ!忘れてました」
速水はそう言って、ピンと背筋を伸ばす。
忘れたって……。
そんな速水を見て笑いが込み上げてきた。
「で、今日の刑は何?」
「えっと、うーん……」
考えることか?
「あっ!靴に落書きの次は、明日は靴に押しピンですね」
「えっ?」
落書きの次って……。
「速水?もしかして、知ってたのか?」
「はいっ!知ってました。先生が隠してもバッチリ見えてましたよ?私、視力両目とも2.0なんで」
そうだったのか……。
てか、それを笑いながら言う速水って……。



