起こそうか……。
そう思ったけど、気持ち良さそうに寝息をたて、寝ている速水を起こす気にはなれなかった。
時々、口をゴニョゴニョ動かす速水。
食べ物の夢でも見てるのか?
変なヤツ。
笑いが込み上げそうになるのを必死で抑える。
その時、ベッドの脇にある金属製のサイドテーブルに目がいった。
サイドテーブルの上に赤と青と緑の長細い紙が3枚置いてある。
これ、七夕の短冊……。
速水は家で書いたと言ってたけど……。
サイドテーブルの上に丁寧に並べられた濡れた短冊。
多分、ここに出して乾かしてるんだろう。
見たらダメだと思いながら、短冊を見てしまう自分がいて……。
濡れて字が滲んでるけど、何を書いてあるのかわかる。



