「花房先生?家で子供さんが待ってるんじゃないんですか?」
「そうね。でも、このまま生徒と先生をほっといて帰るわけにはいかないから……」
「僕は帰っても1人ですし、あとは僕が見回りするんで、花房先生は早く帰ってあげて下さい。速水も僕が教師として責任持って送って行きますから」
「そう?じゃー、神谷先生にお願いしてもいい?」
「はい」
「じゃあ、お願いします」
花房先生はそう言って、鍵の束を差し出した。
それを受け取る。
「ありがとう。お願いします」
花房先生はそう言って、頭を下げると、急ぎ足で校舎の中に入って行った。
「速水、ほら行くぞ?あ、スーツと鞄と靴、持って来て?」
俺は鍵の束と速水の靴を持って、校舎の方に歩きだした。
「先生、待って下さい!てか、人使い荒いです!私は先生の荷物持ちじゃありませーん!」
そう文句を垂れながら、速水は両手に沢山の荷物を抱えて、俺の後を走ってついてきた。