「速水!何、やってんだよ?」
「あっ!先生!靴が池の中に落ちちゃいました」
池の中にいる速水はそう言ったあと“エヘヘ”と笑った。
どんな歩き方してたら靴が池に落ちるんだよ!
「俺が拾ってやるから、お前は池から出ろ!」
俺はそう言って、鞄を置いて、スーツのジャケットを脱いだ。
「先生にそんなことしてもらえません!もう取れるから大丈夫です!」
「いいから出ろって!」
俺はシャツを腕まくりして、ズボンの裾を捲くった。
靴を脱いで、靴下も脱ぐ。
そして池の中に足を入れた。
夏だと言うのに、水温は低く冷たい。
それに苔で地面がヌルヌルする。
「先生、ダメです!私が取りますから!」
速水はそう言って、池の中央寄りに浮かんでいる靴の方に歩いて行く。
その時……。



