私を見てクスクス笑う一ノ瀬さんと浅見さん。
「速水さん、こっち来て?」
そう言われて、一ノ瀬さんと浅見さんの後ろをついて行く。
ついて行った場所は、校舎と校舎の間にある中庭。
「靴、返してあげるね」
浅見さんは、ニッコリ微笑む。
そして、私の靴を中庭の真ん中にある池に向かって投げた。
靴が宙に舞う。
それがスローモーションに見えて……。
「あぁ!」
ジャンプして靴を取ろうとしたけど……。
“チャポン――”
靴は見事に池の中に入ってしまった。
呆然と池を見つめる私。
その前で大爆笑する一ノ瀬さんと浅見さん。
「手が滑っちゃった。ゴメンね~」
浅見さんはそう言って、一ノ瀬さんと笑い合った。
「じゃーね、バイバイ」
そう言って、中庭に私を残したまま、その場から去って行った。
下駄箱に行った、ふたりの笑い声が中庭まで響き渡っていた。
―琴梨Side end―



