「と、これ短冊です。おうちで書いて付けて下さいね。私の前じゃ書きにくいでしょ?」



短冊は1枚だけじゃなく、3枚くらいある。


書きにくいって……俺は別に……。



「別に願い事なんてないし……」


「えぇ!そうなんですかぁ?」



そんなに驚くこと?



「だから短冊はいらない。速水が持って帰って書けばいいだろ?」


「まぁまぁ、そう言わずに。私は、もう家で書いたからいらないです」



速水は笑顔で短冊をススメてくる。


だから、いらないって!



「はい、先生?」



七夕飾りと同じように言ってきた速水。


これを受け取らないと帰れないかも……。


じゃあ、これを受け取って早く帰った方がいいな。


俺は何も言わず、速水の手から短冊を受け取った。