「出来たっ!」
速水はそう言って笑顔を見せた。
あと少しと言っていたのに、結局1時間ほど待たされた。
速水の手には、プラスチックの小さな笹があって、その笹には、いろんな色や形の飾りが付いている。
「やっと終わったか……。早く片付けをしろ。片付けたら帰るぞ」
「はいっ!」
返事だけは、いつも元気だな。
「あっ!これ、先生にあげます」
そう言って、速水は手に持っていた七夕飾りを差し出した。
「俺はいいから、速水が持って帰りなさい」
「まぁ、そう言わずに、遠慮しないで下さい」
遠慮なんてしてないんだが……。
「はい、先生?」
笑顔でそう言う速水。
いらない。
けど、俺は差し出された七夕飾りを受け取った。