…………やっぱり、まだいた。
単純バカなアイツが……。
しかも……。
「ささのはさーらさら~ のきばーにー ゆれーる~ おほーしんーんー んーんんん~ んーんんーん んんーん~」
歌ってるし。
しかも中途半端な部分からハミングだし。
七夕の歌を何回もリピートしながら何か作業してるし。
「おいっ!」
「うはぁ!」
俺が声をかけると、速水の肩が“ビクン”と揺れて、歌が止まった代わりに変な声を出した。
「わわ!先生!いつからそこに?」
「さっき」
「そうですか」
速水はそう言って、再び歌いながら作業を開始した。



