「ねぇ?」 女が俺に抱き着いてきた。 俺は短くなったタバコを灰皿に押し付ける。 「旦那とね、別れようと思ってるの……」 さっきと違い、女は縋るような目で俺を見る。 「へぇ、それで?」 「子供は、旦那に渡す」 「だから?」 「だからね、私と付き合って欲しいの……。私、アナタのことが……」 「悪いけど、それは無理」 俺は女の言葉を遮った。 「何で?」 女の目からポロポロと大粒の涙がこぼれ落ちる。 「別に?理由はない」 「だったら!ねぇ……」 俺は何も言わず、泣いて縋る女の体を離した。