「突然、声をかけないで下さい!ビックリするじゃないですかぁ!」
「てか、何で帰ってないんだ?」
いつもなら帰ってる時間だろ?
「月が綺麗だから見てたんです」
速水はそう言って窓の外に向き直った。
「先生?知ってます?」
月を見上げながら速水はそう言ってきた。
「何が?」
「月にはウサギがいるんですよ?」
確か、前にもそんなことを言ってたような……。
「いるわけないじゃん」
速水に聞こえないように、そうポツリと呟いたけど……。
「先生って、冷めてるね」
速水はこちらを向き、俺を見てクスクス笑った。



