“ピピピ、ピピピ――”



「…………んっ」



ベッドの枕元に置いてある携帯に手を伸ばす。


遠くで聴こえる電子音。


それを止めて、目を開けた。


見慣れた部屋。


窓の外からスズメの鳴き声が聞こえ、今が朝だとわかる。



「夢……」



そう呟いた時、夢で見た幼い頃の記憶が蘇る。


私が、幼稚園の年中さんだった頃、隣の家の男の子と仲良しだった。


顔はハッキリと覚えていない。


年齢も私より下ではなかったけど、同じだったのか上だったのか……。


ただ唯一、覚えてることは、うちのウッドデッキに寝転がり、星や月を一緒に見ていた。


時々、夢の中に現れる男の子。


ウッドデッキに寝転がり一緒に星空を見ている。


でも、やっぱり顔は見えなくて……。