「ただ……」
「ただ?」
速水が、おうむ返しをしたあと、不思議そうに俺を見る。
「天文部の活動はしない」
「へっ?えっ?えぇぇぇ!」
速水の声が化学室に響き渡る。
「煩い……」
「あ、ゴメンなさい」
速水といると“煩い”が口癖になりそうだ。
「部活なのに活動しないって、それって部活って言えますか?」
「さぁ?でも天文部は活動しない。それが条件だ。嫌なら辞めてもいい」
「…………わかりました。でも放課後は、ここに来てもいいですか?」
しばらくの沈黙のあと、速水はそう言った。
「それは構わないけど?速水の好きにしたらいい」
「良かった」
速水はそう呟くと“フフ”と笑った。



