「それから……」
速水が俺を見る。
「それから?」
「天文部への入部理由ですが……」
「うん」
「私、バカだから月にウサギがいるとか、流れ星に3回願い事すると願いが叶うとか信じてるんです。
だから天文学とか地学とか全くわからなくて……。
でも星が好きなんですよね。
ただ、星が好きなんです。
そういう理由じゃダメですか?」
速水は上目遣いで硬い表情で俺を見ている。
「いや、別にダメじゃないけど?」
俺がそう言うと、速水の表情が和らぐ。
「はは!良かったですぅ!」
速水がニッコリ微笑む。
俺には天文部なんてどうでもいい。
七星のいない天文部なんて……。
だから速水のように、ただ、星が好きなだけの理由でもダメじゃない。