「あ、間宮さん、元気ですか?」
「あぁ。店も順調だし。元気だよ。アイツもまだ結婚してなくて独身。俺たち、速水に追い越されちゃったな」
俺はそう言ってクスクス笑った。
「私も結婚してませんよ」
「えっ?だって……」
俺は子供に目を移す。
「未婚の母です。今、小さな食堂で住み込みで働いてるんです。もちろん事情も話した上で。そこのオーナー夫婦によくしてもらって、この子を孫みたいに可愛がってくれて……」
「そうだったのか……」
俺、てっきり……。
じゃあ、この子の父親は?
1歳になってないくらいの子供。
まさか……。
「あっ!あの時の……。先生の子供じゃないです」
えっ?
違うのか?
「この子には父親はいません。親は私、1人だけです。これから先も……」
「速水……」
「あ、でももし、先生の子供でも責任取れとは言わないので安心してください」
「何だよ、それ……」
俺はそう言ってクスクス笑った。
速水もクスクス笑う。



