「琴梨ちゃん?」
「はい」
「俺、さっき琴梨ちゃんは笑顔が似合ってるって言ったけど、無理に笑顔を作ることないんだよ?泣きたいときには我慢しないで泣きなよ……」
「間宮さん……」
間宮さんの言葉に張り詰めていたものが音をたてて切れた。
ポタリポタリと大粒の涙が落ちてくる。
泣かないと決めた自分との約束は、また守られなかった。
フワッと香る甘い匂い。
先生とは違う香り、ココアとも違う香り。
気付くと、私は間宮さんに包まれていた……。
「泣けよ。思いっきり……」
「間宮さん……」
「琴梨ちゃんの涙、俺が全て受け止めてやるから……」
間宮さんの優しい言葉に限界を感じた私は、間宮さんの胸の中で思いっきり泣いた。



