マンションを出て、走りながら携帯の着信履歴から速水の携帯に電話をかける。 すぐに留守電に切り替わる。 懲りずに何度も電話をかける。 でも結果は同じで……。 何だよ!電話くらい出ろよ! 何で急にいなくなるわゆだよ。 もしかして、初めからこうすることを決めていたんじゃ……。 だから昨日、突然あんなことを言ったのか? 何だよ、それ……。 紙を握る手に力が入る。 家だけには、あの家だけには戻っていないでくれ……。 頼むから……。