カーテンの隙間から射し込む陽の光で目が覚めた。
「……んっ。速水?朝だぞ、起きろ」
ベッドの中でゴソゴソ動き、隣で寝ている速水を起こす。
返事がない。
「速水?」
寝返りをして、速水が寝ていた方に向く。
「速水?」
隣の布団は膨らんでなく、誰もいないことがわかる。
アイツ、もう起きたのか?
俺はベッドから出て、リビングへ行った。
「速水?」
リビングは、いつものように静かで……。
俺以外、誰もいないことがわかる。
トイレか?風呂か?
部屋の中を探したけど、速水は見付からなかった。
どこ行ったんだよ!
その時、ダイニングテーブルの上に髪が1枚置いてあるのが見えた。
そこには
“先生へ。ありがとう。そして、さよなら”
そう書かれていた。
あのバカ!
……まさかっ!
俺は紙を握りしめ、携帯とカギを持つと、部屋を出た。