「先生、ありがとう、ございました……」
シーツを鼻まで被り、恥ずかしそうにお礼を言う速水。
「いや……」
別に例を言われるほどでもないと思うけど……。
「先生、今日はここで寝てもいいですか?」
「あぁ」
「体動かしたら眠くなってきました」
速水はそう言うと大きなアクビをした。
体動かしたって……。
テメェは動かしてねぇだろ?とも言えず……。
てか、もう寝てるんですけどぉ。
はやっ!
何だよ、さっきまで寝れないとブツブツ言ってたくせに。
寝息をたてる速水を見て、クスクス笑った。
速水の前髪を触ると、モソモソと体を動かす。
それがおかしくて、自然と笑顔で速水を見ていた。
いや、もしかしたら七星と重ねて見ていたのかもしれない。
七星がいなくなって、ポッカリと空いた心の穴が今日だけ埋まった気がしたんだ……。
俺は速水の隣で、そっと目を閉じた。
朝、目覚めた時、速水がいなくなってたことも知らずに――……。