「お目当ての天文部はここだけど?」
「えっ?えぇ!そうだったんですかぁ!」
静かな化学室に彼女の声が響く。
「だから煩い……」
やっぱり学習能力ないな。
コイツ。
「あ、すいません!で、顧問の先生は?」
彼女は俺から目を外し、化学室の中を見る。
「俺だけど?」
「はい?」
彼女の目線が俺に戻り、ポカーンとした表情で俺を見る。
「だから、俺が天文部の顧問。日本語、わかる?」
「そりゃあ、生粋の日本人だし、17年間日本に住んでるので日本語くらいわかりますよぉ!」
「じゃあ俺の言ったことも理解出来るな?」
彼女はコクコク頷く。
「そういうことだ」
「えっと、じゃあ、部員は?」
「いない」
「はい?」
再び彼女は、ポカーンとした表情で俺を見た。
目の前には七星にそっくりな彼女がいる。
なのに俺は彼女に対してイライラしていた。



