「それより何か用?」
「あっ!」
彼女は思い出したように声を上げ、上半身を上げた。
「そうだった!あの、ここって天文部の部室ですよねぇ?」
「はっ?」
「あれ?違ったかな?でも化学室だって言ってたような……」
彼女は俯くと、ブツブツと独り言を言っている。
「あのですね、私……」
ブツブツ独り言を言った後、俺の方を見た。
そして……。
「前の学校で何もしてなかったら部活に入りたいなぁと思ってて……。でも運動は苦手だから運動部には入りたくなくて、で、文化部で何かいい部はないかな?と、担任の先生に聞いたら一覧表を見せてくれて、そこに天文部があって、天文部の場所を……」
「おいっ!」
俺は彼女の話を途中で遮った。
「はいっ!」
彼女は俺の声に“ビクン”と肩を揺らし、話を止める。
だから聞いてもないことをしゃべんなって。
「あっ!私ったら、また……。煩かったですね」
彼女はそう言って“ハハ”と笑った。
ちょっとは学習能力があるみたいだな。



