アパートの前に車を停めた。


そう言えば、アイツの部屋がどこなのか聞いてねぇし……。


でも2階だって言ってたよな。


俺はアパートの外階段で2階に行く。


端の部屋から順番にドアに耳を当て、中の様子を伺った。


こんだけ古いアパートなんだ。


壁やドアは薄いはず。


中から怒鳴り声が聞こえたら、そこが速水の家だ。


1番奥の部屋からドア越しに怒鳴り声が聞こえる。


“琴梨”と速水の名前を怒鳴りながら言う男性の声。


ドアを蹴るドンドンという音。


間違いない!ここだ!


俺は小さく深呼吸をして、呼び鈴を押した。