七星と出会って3度目の春がやって来て、七星がいなくなって2度目の春がやって来た。
3月1日――。
今日は卒業式だ。
普段、チャラいヤツが制服をキチンと着て、涙を流しながら校歌を歌う姿を見ると、少しだけ笑いが込み上げてくる。
卒業生の中に、速水を見つけた。
涙をポロポロこぼしながら一生懸命、校歌を歌っている。
桜の木の下で出会い、と言っても速水が迷子になっていただけだけど。
七星と見間違えるほど、キミは七星に似ていたんだ。
でも中身は違っていて、天然でバカで……。
だけど寂しがり屋で……。
ほっとけない性格で……。
この1年、ほとんど速水に振り回されっぱなしで……。
あの件以来、あの話をどっちからともなくすることはなく……。
速水が今でも、あの仕事を続けてるのかわからない。
でも卒業したら辞めると言ったんだ。
だから、もう辞めていると信じたい……。