「これも……。中に5万入ってる」
「えっ?えぇ!先生、ダメです!ダメダメ!お金なんか頂けません!」
「これがないと命の保証はないんだろ?」
「だからって、それはダメです!」
速水は首を左右にブンブン振る。
「俺、海から上がったお前の変死体とご対面なんてしたくねぇし、もしくは刺されて血だらけとか絞殺とか……」
「海は冷たいし、刺されたら痛いし、絞殺は苦しいからどれも嫌ですね。出来れば安楽死の方が……」
「だろ?どれも嫌だろ?」
まぁ、殺されるのに安楽死なんて聞いたことねぇけど。
「だから、これ……」
俺は速水の前に封筒をグッと押しやる。
「…………やっぱり頂けません!」
「いや、でも今日は俺が引き留めたわけだし……」
どうしたら受け取ってくれるんだ。
「…………じゃあ、こうしよう。これを速水に貸してやる。ローンだ、ローン。で、速水が真っ当な仕事を見つけ、給料をもらったら少しずつ返してくれたらいいから……。もちろん無利子で」
これならどうだ?
無利子で5万なんて借りられねぇぞ?
しかも今日の命も保証してもらえるんだ。
いい話だと思わね?



